たかがリウマチ、じたばたしない。

2015年に急性発症型の関節リウマチと診断された中高年男子。リハビリの強度を上げつつ、ドラッグフリー寛解≒実質完治を目指しています。

デパス離脱、私論

f:id:yusakum:20170426121843p:plain

 

ξ

はてなブログから1年前の記事について「ふりかえりメール」というものが来た。

ブログを始めて1年経ったお知らせみたいなものだろうか。

自分の病気に対する気持ちの整理のためのオボエガキに過ぎないものだったが、書くことの解放感もあり、とにかく1年は続いた。

 

実質読み手限定のおそろしくマイナーな記事群だったが、細々であれ予想外の手ごたえも感じられた。

とりわけリウマチ患者特有の問題、「ステロイド」「減薬」「痛み」のようなテーマに関わった時だった。

僕だけではない!

傑作映画『コンタクト』(1997)じゃないが

(We  Are…)Not  Alone !

という感触だった。

 

僕らは病状にどのように対処していけばよいのだろう。

ステロイド」に揺れている

「減薬」に揺れている

「痛み」に揺れている

「・・」に揺れている

というのが本当の現実なのに、何かに入信帰依したようにジャンプしてしまう人がいる。

リアルに結びつく唯一の道筋に目を閉じて、回避して、どこに向かうのだろう。

 

僕はどのような疾患であれ少しずつ消し込み、恐る恐る足を踏み出そうとする人々をとても愛しく思う。

それらの人々は疾患への対処について

予測不能なものに傷ついてしまった苦悩を癒そうとすれば、その解決もまた予測不能なものに向かう行為にしかないと知っているのだから。

それは想定外の領域に向かって

まだ想定外への過敏さが大きな時期に

その無防備な心と体を投げ出し続けることなのだから。

 

ξ

僕の「痛み」について、マチュアがその症状から診断名を決めたりできないものの

見聞きした範囲ではパニック障害がいくらか近そうだった。

ステロイドの副作用でよくあるウツかとも思ったがナンカアワネェーという感じの方が強かった。

 

夜中に不意に、動悸を伴った嫌な記憶と、恐怖感、絶望感、不安感といった情動や、首、肩、腕、手首あたりの猛烈な疼痛が制御不能のまま呼び出されるのである*1

湿布や痛み止めの世界ではない。

こういう発作の原因は身体的、心理的、環境的にいろいろと語られているが決め手がない。

環境的な原因が患者や医師に特定できるのなら、それは適応障害だろうが、そんなひもつきの発作にならない。

だから僕は薬害性という仮説を立ててみる。

 

何らかの器質的・環境的原因があって、もともと

記憶、感情、情動、睡眠、自律神経のような機能を担う大脳辺縁系に、神経伝達物質の過多・過少といった問題があり軽度にイカレていた。

この「正常」と「異常」の境界線付近を歩みながら辛うじてバランスをとり心身の不調(不定愁訴など)をやり過ごしていた。

 

PSL(ステロイド)は、大脳辺縁系神経伝達物質に影響を与え、症状が増悪することがある精神病の患者には禁忌とされている(プレドニゾロン錠「添付文書」)ものの

僕に明確な病態があるわけでもないのでPSL10~20mg/日の範囲で数カ月間投与された。

 

その後ようやく、PSLのゆっくりとした減量過程に入りその離脱症状として大脳辺縁系の「異常」に起因するパニック発作が頻繁に起こるようになった。

 

そのパニック発作は、大脳辺縁系(特に記憶、恐怖、不安、痛み、交感神経を司る扁桃核)に多く存在する受容体に作用するデパスエチゾラム)1mg/日の投与で改善に向かった。

 

ξ

だからデパスは切れ味が良くスゴイというのが実感だが、近頃、特殊な記事というわけでもなく、ごく一般的なニュースとして目にしたものが二つあった。

 

1.2016年10月14日付

厚労省エチゾラムデパスほか)など国内で医薬品として流通している2物質(精神安定剤睡眠導入剤)を第三種向精神薬に指定した。

この指定のうち患者に直ちに影響するのはそれらの処方期間が上限30日とされたことである。

倍量処方とか裏技(いや常識か)がネット上に氾濫するのだが、2~3カ月ごとに通院していた安定期リウマチ患者に毎日分のデパスなど向精神薬が処方されていたならたしかに面倒かもしれない。

 

2.2017年3月21日付(写真のNHK NEWS WEBなど)

厚労省エチゾラムデパスほか)など44成分について、使用上の注意(添付文書)の改訂を指示し医療機関等に注意喚起した。*2

要は、承認用量の範囲内でも薬物依存が生じる、よって漫然とした継続投与による長期使用を避けることなどが主旨である。

なお離脱症状として不眠、不安、焦燥感、頭痛、嘔気・嘔吐、せん妄、振戦、痙攣発作などが挙げられている(独法・医薬品医療機器総合機構)。

 

ξ

PSLを中止してからは夜中の発作的疼痛に苦しめられることが減ったが

まだしばしば夜中に目覚めてこの世の終わりのような絶望感を味わうことがある。

この時、従来のような「取り返しのつかないニガイ記憶」の明瞭な呼び出しはなく、不快な情動だけが湧きあがってくるという変化を感じることもある。

これは好転しているのだと言えなくもない。

しかし、デパス依存からの離脱は案外難しい。

 

僕は担当医の勧めに従いデパスとはお別れすると言い聞かせて、1.0→0.5→0.25→0.125→0.0625mgのように減薬を始めた。

僕の処方には0.5mg錠と0.25mg錠が混在していたのでカッターナイフ(薬局の提案)による4分割で0.0625mg程度を作ることが可能である。

8分割はバラバラに崩壊しそうで試したことがない。

PSL減薬の経験からとにかくゆっくりのんびり減薬することだと考えている。

いずれプラセボのような量で、お守りのように所持していればすむ時期が来たら、まずまずなのではないかと思っている。

 

 

*1:
yusakum.hatenablog.com

 

*2:

改訂指示のあった成分は以下のとおり(ミクスonline国内ニュースからの引用)。

アルプラゾラム(コンスタン錠、武田テバ 他/ソラナックス錠、ファイザー 他)

エスゾピクロン(ルネスタ錠、エーザイ

エスタゾラムユーロジン錠、同散、武田テバ 他)

エチゾラムデパス錠、同細粒、田辺三菱製薬 他)

オキサゾラム(セレナール錠、同散、第一三共 他)

クアゼパム(ドラール錠、久光製薬 他)

クロキサゾラム(セパゾン錠、同散、第一三共

クロチアゼパム(リーゼ錠、同顆粒、田辺三菱製薬 他)

クロラゼプ酸二カリウムメンドンカプセル、マイランEPD)

クロルジアゼポキシド(コントール錠、同散、武田テバ 他)

 

ジアゼパムセルシン錠、同散、同シロップ、同注射液、武田テバ 他/ホリゾン錠、同散、同注射液、丸石製薬 他/ダイアップ坐剤、高田製薬)

ゾピクロン(アモバン錠、サノフィ 他)

ゾルピデム酒石酸塩(マイスリー錠、アステラス製薬 他)

トリアゾラムハルシオン錠、ファイザー 他)

ニメタゼパムエリミン錠、大日本住友製薬

ハロキサゾラム(ソメリン細粒、同錠、第一三共

フルジアゼパムエリスパン錠、同細粒、大日本住友製薬

フルタゾラム(コレミナール錠、同細粒、沢井製薬

フルトプラゼパム(レスタス錠、日本ジェネリック

フルニトラゼパムサイレース錠、エーザイ 他/ロヒプノール錠、中外製薬 他)

 

フルラゼパム塩酸塩(ダルメートカプセル、共和薬品工業)

ブロチゾラムレンドルミン錠、日本ベーリンガーインゲルハイム 他)

ブロマゼパムレキソタン錠、同細粒、中外製薬 他)

メキサゾラム(メレックス錠、同細粒、第一三共

メダゼパム(レスミット錠、塩野義製薬 他)

リルマザホン塩酸塩水和物(リスミー錠、塩野義製薬 他)

ロフラゼプ酸エチル(メイラックス細粒、同錠、Meiji Seika ファルマ 他)

ロラゼパムワイパックス錠、ファイザー 他)

ロルメタゼパムエバミール錠、バイエル薬品ロラメット錠、あすか製薬)

クロナゼパム(リボトリール錠、同細粒、中外製薬ランドセン錠、同細粒、大日本住友製薬

 

クロバザム(マイスタン錠、同細粒、大日本住友製薬

ミダゾラム(ミダフレッサ静注、アルフレッサファーマ)

ニトラゼパムネルボン錠、同散、第一三共 他/ベンザリン錠、同細粒、塩野義製薬 他)

アモバルビタールイソミタール原末、日本新薬

セコバルビタールナトリウム(注射用アイオナール・ナトリウム、日医工

ペントバルビタールカルシウム(ラボナ錠、田辺三菱製薬

フェノバルビタール(フェノバール原末、同散、同錠、同エリキシル、藤永製薬 他/フェノバール注射剤、藤永製薬/ワコビタール坐剤、高田製薬/ルピアール坐剤、久光製薬/ノーベルバール静注用、ノーベルファーマ)

フェニトイン・フェノバルビタール(複合アレビアチン配合錠、大日本住友製薬

フェニトイン・フェノバルビタール安息香酸ナトリウムカフェイン(ヒダントール配合錠、藤永製薬)

プリミドンプリミドン錠、同細粒、日医工

 

トリクロホスナトリウム(トリクロリールシロップ、アルフレッサファーマ)

ブロモバレリル尿素ブロバリン原末、日本新薬 他)

抱水クロラール(エスクレ坐剤、同注腸用、久光製薬