ξ
8月の通院時、久々に白血球分画を含む血液一般検査を実施しました。
PSL(ステロイド)中止後は、血液検査はCRPやMMP-3等いくつかの検査だけだったのです。診察後採血のため9月の通院日に結果を聞きました。
ステロイドは、リンパ球を減少させ、マクロファージの機能も抑制します。
リンパ球は白血球の構成成分としてウェイトが大きくリンパ球破壊効果は重大です。
ステロイド治療により感染症が高頻度に発生するようになり、投与に当って医師は感染症の制御にも気を使うことになりました。
重篤になり得るニューモシスチス肺炎、真菌症、結核、非結核性抗酸菌症、サイトメガウィルス感染症などがありますが、診断・治療法はおおむね確立しているようです。
日和見感染という言葉は入院患者の院内感染ですっかり有名になりましたが
過労防止や食生活のような日常生活の注意順守だけで防止できるものでもなく容態の異常、急変があったら、いつものリウマチ病院か救急病院に即向かうべきだと思っています。
それは膠原病・リウマチ患者の免疫抑制の程度を事前に評価することは難しく(HIV感染ではCD4基準があるようだ)、発症すればその迅速な治療開始が重要とされているからです。
ξ
僕の治療はPSL15mgからスタートし追ってMTXを6mgから増量していきました。
そしてPSL/day+MTX/weekが20mg超の時期に、呼吸器感染症らしき症状で高熱を発し救急病院に行っています。
ステロイドの量とその時のリンパ球はどういう関係にあるのだろうと、手元の検査データから検討してみました。
感染症発症あたりからPSL投与量とリンパ球比率を順に並べてみると下記のようになります。
PSLの投与期間、累積投与量、僕の健康時の白血球分画データからの偏差などを考慮すべきかとも思いますが
それは今後の課題として、ここでは血液検査直前のPSL投与量とリンパ球比率(リンパ球数/白血球数)等を直接比較するようにしてみます。
PSLの同量継続期間は10mg以下では4~7週間です。
MTXの量は、短期の中断期間以外はほぼ横ばいですから検討除外とします。
PSL投与量 リンパ球比率
(mg) (%、基準は20~45)
① 10 8.4
② 8 6.7
(感染症発症、MTX中断、PSL継続)
③ 8 10.5
④ 6 20.8
⑤ 4 21.5
⑥ 3 23.5
⑦ 2 23.4
⑧ 1 21.1
⑨ 0 26.0
ξ
PSL投与量とリンパ球数の相関係数は-0.69、PSL投与量とリンパ球比率の相関係数は-0.90となります。
相関係数は±1に近ければ強い相関がある、0に近ければ相関が無いということになります。
PSL投与量とリンパ球比率は強い負の相関があるとわかります。
この強い相関には驚きます。
つまりPSL投与量を減らせばリンパ球比率は大いに改善すると考えてもよさそうです。
回帰直線を求めれば*1、その右下がりの直線近傍にプロットされるでしょう(写真)。
もちろんリンパ球数でも相関があります(弱い負の相関がある)が、リンパ球比率でみた方が相関がはっきりしているということになります。
ξ
ところで顆粒球比率とPSL投与量の相関係数は、+0.93(顆粒球数では+0.80)と強い正の相関があります。
この大部分の理由は、ステロイドが好中球(顆粒球の構成成分)を増やすからでしょう。
そしてPSL投与量が減ると見事に顆粒球は減少していきます。
ただしステロイドだけが顆粒球増加の原因とはなりません。
僕の場合、急に感染症を発症して、18,000/μl付近まで白血球が増加しましたが、すでにPSLの減量過程にありその時点のステロイドだけで白血球が増えたとはいえません。
ξ
まとめてみると僕の場合、次のように言えそうです。
- 生活に特に無理がなくとも何らかの感染症にかかってしまうリンパ球比率は10%以下だった。このときのリンパ球数は1,000~1,200/μlであり、標準1,500/μl以上に比べ明らかに低い。
- PSLの低用量投与であれば、(その他の要因を考慮せずとも)現在の投与量を減らせば直ちにリンパ球比率は改善できるだろう(相関からではなく医学的知見からPSL減薬とリンパ球比率改善の因果関係はあるため)。ただし治療中の減薬は実際には難しい。
<追記>
多少痛むにしても回復するにつれ発病前に似た日常に追われ、2千字目安で始めたブログに向かう時間が厳しくなっています。非常にネガティブかつマイナーなテーマにもかかわらずそれなりのアクセスをいただいています。特に長い未更新の期間にアクセス数が上昇する予想外の経験をしています。とまどいもありますが深謝です。
*1:傾き検定の有意確率P値<0.001