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毎日新聞2016.10.30朝刊の記事です。
異なる疾患の難病患者たちが病名を問わずに交流する場が、各地に広がりつつある。キーワードは「難病カフェ」。
実際に店を開いているわけではないが、気楽に会話を楽しむスタイルで、当事者や身近な支援者ならではの悩みを語り合う。
高齢化や人口減少で、病気ごとの「縦割り」で患者組織を維持するのが厳しくなっていく中、地域で孤立しがちな患者たちを結ぶ新たな形として注目を集めている。
○○友の会といった古くからある公益・一般社団法人の患者グループの会員数の減少が目立っています。
引用記事によれば、
日本リウマチ友の会 2万人超(20年前)⇒約1万4千人(現在)
全国膠原病友の会 約6600人(15年前)⇒約5000人(現在)
残念ながら患者が大いに減っているわけではないので、患者グループに属さない人々は引用記事のとおりもっぱら家族に依存したり孤立している可能性があります。
ξ
しかしいまなお、友の会(リウマチ)の機能は厳としてあります。
- 行政、医療機関との結びつきは強く、リウマチ治療と患者環境改善に向けた政策反映に影響力をもつ組織はほかに見当たらない。
- 専門医が執筆する解説記事・相談記事のレベルは質・量とも非常に高い。ネット記事は信頼のおける機関でも読みやすさを旨とするので表面的で不十分である。このためネット記事は辞書の代替といった使い方はできるが納得できる解説を得にくい。
ξ
友の会会員が減少する理由を考えると、
- 最近はMTXや生物学的製剤による標準的な治療が確立されてきて会から画期的な新情報が入手できるわけではない。
- MTXや生物学的製剤が承認される前から苦労してきたベテランリウマチ患者と、早期診断・早期治療による寛解、継続的休薬による実質完治を促されている新しいリウマチ患者*1と話が合わない。働く世代の就活や婚活が話題になりにくい。
- 高齢リウマチ患者は、状態の維持が主眼とされるので新たな情報・相談をもはや会に求めなくとも医療機関(医師)で十分と考えやすい。
現在では、日本リウマチ友の会の会員(調査回答者)は20歳代0.2%、30歳代1.7%とのことです。
ξ
こうして比較的若い患者によって、自主的に会話を楽しむスタイルで悩みやその対策を語り合うグループが生まれているようなのです。
1.縦割りで患者を組織するのではなく難病といわれる患者であれば自由に参加しやすくしている。膠原病限定というような姿勢ではないので敷居が低い。
2.テーマは「難病患者の就労」など働く世代に共通する課題をとりあげ社会的サポートといった語り合いになっている。必要な専門家を招くこともある。「病名は違っても共通する課題を考える場所がほしかった。」(あるカフェを主宰している膠原病の方の発言)
3.例外なくフェイスブックやツイッターによる情報連絡手段を用いている。
主宰者たちは(行き場のはっきりしない)自分たち自身がまず集まって活動してみましょうよ、と言っているようです。
ξ
この1~3のような取組み方は、既存縦割り患者グループにはたいへん難しく思われます。
もっとも縦割り患者グループ対「難病カフェ」というような対立軸は不要で、友の会に属して交流しながらSNSを駆使して独自に拡大しても何もおかしくありませんが。
僕の場合、いままで多くの関心を発病から回復する過程の変化においてきましたが、最近発病前と発病後の違いにも気が向くようになっています。
減薬過程で気が付いたのですが、発病して悪くなった方が圧倒的に多いなかで逆に発病前より調子が良くなった部分があり、
これには大幅に活動制限した療養が効いている可能性があります。
そこで、
いままで病気といえば関節リウマチに絞ってきた関心を、
(ちょうど「難病カフェ」のように)
もっとユルくさまざまな慢性病・障害の療養スタイルまで拡大した方が、
病気と向き合うということ
が幅広くわかるようになるのではと思い始めているのです。