たかがリウマチ、じたばたしない。

2015年に急性発症型の関節リウマチと診断された中高年男子。リハビリの強度を上げつつ、ドラッグフリー寛解≒実質完治を目指しています。

風鈴の代わりの

ξ 

近所の幼い子が、母親やお祖母ちゃんと外を歩いているとき

ワタシのような他人に出会えば

「こんにちわー!」と大きな声で誰よりも先にしゃべるのが習慣らしかった。

母親やお祖母ちゃんが、顔見知りとすれ違うとき

「こんにちは」と挨拶しているのを見て覚えたのだろう。

ワタシたちも「こんにちは」と笑顔で返すわけだから、人と会ったときの言葉として覚えたのだろう。

 

しかし幼稚園に入った頃から一変した。

しばらくぶりに会ったら、その子は怪訝な顔をして黙り

すれ違ったあと

「あのひと、だあれ?」

と、お祖母ちゃんに訊いていた。

 

お祖母ちゃんがなんと答えたのか聞こえなかったが

おぉ、おぉ、成長!

と歩きながらワタシは思った。

 

ξ  

 晴れた日に

 近くのアパートのベランダを見上げると

フック式の虫よけが網戸近くにぶら下がっている。

きょうは、洗濯物や布団にさえぎられることなく、ポツンと虫よけが目立っている。

いいぞ、暮らしてる

いい、と思う。

 

昔の風鈴に似ている。

この季節の

風鈴の代わりの虫よけ。

 

ワタシの家にもある。

網戸に直接貼るタイプだ。

 

ワタシの知らない

広い庭と鬱蒼とした木立と日本家屋。

どこからともなく聞こえる風鈴。

 

それを味わいたくて、狭苦しいベランダに下げたことがあった。

しかし煩いのだ。

そよ風であろうが夜に吹けば煩くてたまらない。

二、三日で取りはずした。

狭い住まいでは、風鈴は灯りの下、指で鳴らしてみるもの。

なにか身辺を通り過ぎる<風>でも記述できたら、と思ったのだろうか。

 

夜、カーテンの外の

真っ暗な風を感じていると、いくらか強すぎる。

すぐに部屋のなかの無<風>に戻ることになる。

う     夏。

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