たかがリウマチ、じたばたしない。

2015年に急性発症型の関節リウマチと診断された中高年男子。リハビリの強度を上げつつ、ドラッグフリー寛解≒実質完治を目指しています。

「ハート・プラス」マークを淡々と使う 《追論》

これは

「ハート・プラス」マークを淡々と使う  その1/2

「ハート・プラス」マークを淡々と使う  その2/2

の続きです。

 

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ξ

妻がいちばん美しかったのは、子どもを身ごもり

自宅から車でそう遠くない

北国のなだらかな丘陵の

タンポポが咲き乱れる季節の

ほとんど手入れがなされていない斜面の広っぱに

マタニティー姿でのんびり足を投げ出して

時間を過ごしていたころだった。

 

今どきの都市部のヘルプマークもマタニティーマークも何にも知らないころだった。

 

ξ

冬の出勤となれば、駐車場からであれ駅からであれ

妊婦となった女性社員と腕を組んで歩いた。

ツルツルの歩道や道路で妊婦を転ばせるわけにはいかなかったからである。

駅の出口にいれば顔見知りの男性社員に出会うことができたし、男性社員が駐車場で車から降りれば妊娠した女性社員が待っていたりした。

 

何もルールなど無かった。

出勤時は、男子は妊娠した女子をエスコートするものとする、などとルール化した途端

なにか壊れてしまうものがある。

 

妊娠した女性社員も出退勤時間がずれれば誰にも出会わないだろうし、一人で注意深く道路を歩くことになる。

誰も文句を言わない。そういうものだと思って暮らしていた。

とにかくルールなど不要だった、とはいえる。

 

ξ

現在、ふだんはハート・プラスマークを所持しているが、つい先日、必要あって別の鞄に変えたところハート・プラスマークを忘れてしまった。

通勤時間帯だったが奇跡的に優先席にすわれた。

 

そのうちワタシの斜め前に、マタニティ服のようにみえた女性が立った。

あまりお腹が大きくなかったので妊婦ではないのではないかと思った。

しばらく駅を過ぎた後、ワタシは小さなマタニティマークにやっと気が付いた。

 

勝手なことを言わせてもらえれば、マタニティマークは薄いピンク色でひどく地味である。

ギンギラ、マッカッカのヘルプマークのように目立たない。

色が違っていたりヘルプマークだったらすぐ気が付いたかもしれないとも思った。

 

「気付いてあげれなくてゴメン」

とかいうマンガチックなバカげた感傷はまったくなかったが

ヤバッ!と思ってすぐ交代、座ってもらった。

 

ξ

その後、マタニティマークを検索していたら、ため息のでるような記事に当たった。

 

マタニティマークが付けられない…なぜ妊婦が萎縮する社会になったのか(藤村美里) - 個人 - Yahoo!ニュース

news.yahoo.co.jp

 

  •  妊婦だと知られることが怖くて、安易に付けられない
  • 「妊婦で申し訳ない」という気持ちを持っている
  • (妊婦だということで)故意に足をかけられた、お腹を殴られた、ホームに突き落とされた
  • 優先席の近くに立っていたら、座っている元気そうなアラフィフくらいの夫婦に「絶対譲らないからな、何様のつもりだ」とブツブツ言われ続けた
  • 2人目の時は、優先席付近にはあまり行かないようにした
  • 60代位の女性達に「妊婦だからって甘えて座るな!」と怒られた
  • 酔っぱらった会社員から「妊婦だろ、座りたいなら土下座しろ」と言われたりしました

 

ξ

妊婦を邪険にする社会背景なるものが語られることがあるが、別に正当化されるべき理由は何もない。

売り言葉に買い言葉で返してしまえば、50代、60代の賞味期限切れのオマエラより若い妊婦のほうがよっぽど世のためになるんだよ、ということになる。

 

マタニティマークを付けようが、公共の場で親切にされる保証はない。別に強制的なルール化もされていない。

世の中にはいろいろな人がいて、倫理的にいえば、目配りができる人もいればクズもいる。

 

だから私は付けない、あるいは体調が急変した非常時には妊婦であることがわかったほうがよいので着用しようとか、考えてみなければならない。

ヘルプマークと同じ事情だが、迂闊には着用できない現実に妊婦はそれぞれ判断しなければならない境遇にいる。

 

共稼ぎ世帯が大きく増えているのに世帯収入が増えないという異常な時代に、子どもはすぐ親から引き離されて保育所に預けられるようになっている。

こうしたなかで家族観は急速に変わっていく。

親兄弟もそばにいない狭くるしい家で

それでも子供を持とうとする、あるいは実際に子供を持ち

たくさんの心配で胸をいっぱいにしながらも穏やかに生きている若い世代に、ワタシは驚きを感じている。

ワタシには妊婦を邪険にする根拠などまったく思いつかない。