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知人から面白いと言われて、しばらく前、魔夜峰央(まやみねお)原作の漫画『翔んで埼玉』の実写版を観てきた。
そして、これ使われたりしたら面白いよね、でもまさかね、と思っていたら
本当に、春日部共栄高校が、3/23からの春の選抜高校野球の応援歌として、はなわの「埼玉県のうた」を使う、というニュースを見た。
この映画は、結局のところ
埼玉住民は竪穴式住居に住んでいて、「所沢」とか「春日部」とか関東でよく知られた地名を聞いただけで
東京の住民たちが全身硬直したり、泡を吹いて倒れたりするようなディスりが面白いのだが
終盤になって突然、伸び行く埼玉!といった、行政広報の雰囲気になって、なんじゃこりゃになってしまう。
埼玉県知事は、「悪名は無名に勝る」と好意的な感想を述べたそうだが、とんでもない、悪名にもなんにもなっていない。
埼玉住民を、虫けらのように踏みつけ撲殺していくような無残な映像があれば、千葉と連合して都庁に攻め入るシーンがもっと勧善懲悪的に沸いただろうなぁ、と思う。
どこからも刺されることのないように、商業的に「チョンボ」をしないように、配慮を重ねすぎて全然盛り上がらなくなってしまった。
マンガを読むように通り過ぎたらもうオシマイ、という映画である。
スマホで投稿動画を観るのと同じようなセンスで眺められる映画である。
最後の「ダンダ、ダさいたま!」はアルプス数千人で一斉に自虐を叫ぶ予定。
歌詞の「海も空港もない」は事実だが、一体感で勝利につなげ「郷土愛もない」だけは全力否定する。(前掲記事)
美しい(イジメも無い)友人愛も学校愛も職場愛も地域愛も民族愛も人類愛も、もはやエンターテインメントとしてしか見出せなくなってしまったことは
子どもも大人も、誰もが知っている。
だから「郷土愛もない」だけは全力否定する、なんて力んでみるのは無理がある。
埼玉が映画になった、歌になった、これは話題になる、使える! だけでいいはずだ。