たかがリウマチ、じたばたしない。

2015年初めに不明熱で入院、急性発症型の関節リウマチと診断された中高年男子。リハビリの強度を上げつつドラッグフリー寛解を目指す。そしてゆっくりとリウマチ治療について考えていきたいと思います。

虚血性大腸炎と内視鏡検査のこと

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( https://ssl.kotobuki-pharm.co.jp/guide/guide03-16 )

ξ

先月10月は、ちょっとした遠出の旅行のあと体調を崩した。

ある日の朝食後

①強い腹痛
②下痢、次第に水様便
③嘔吐
④下血(鮮紅色)

という症状が出て、トイレのなかでも横たわってしまいたいと思う程の具合悪さだった。

①、②ならば、初めてではなく、安静にしていれば治まるだろうと予想できたが、③、④、特に下血はいけなかった。

やむを得ず消化器内科に行った。

 

マチュア的には、まるで何かの細菌・ウィルスに当たった食中毒のようだったが、家族に同症状はなく

診療室での問診、患部の触診、エコー検査のあと、順番待ちの腹部CT検査、さらに1週間以上あとの大腸内視鏡検査になった。

現代医学は、問診、視診、触診、打診、聴診といった医師が体得した技量だけで診断が確定することはない。

診断技術の外部化、精密化、平準化といえる機器測定の結果に大きく依存するようになっている。

これに伴い診断基準も細密になっている。

 

患者が、エコーだの、腹部CTだの、大腸内視鏡だの最初から要求するわけがない。

本来、患者は脈診でも舌診でもいいから一瞬で診断され、処方箋が渡されることを望んでいる。

しかし臨床は産業としてAI化を促進する方向に進んでいる。いずれ医師は診療機器オペレーターのような技師になるのではないかと想像している。外科手術も同様にロボットの時代がくるだろう。

時代は必ず医療の高度化と平準化を要求する。

これはやむを得ない流れのように思える。現実には職人芸のような「ゴッドハンド」などに大した員数はいらない。

患者は一般医師の専門知・技量の差異にうんざりしているのだ。

 

ξ

先週、ようやく一日がかり(事前にあの3時間くらいかけて飲む大腸洗浄液の不味さったら!)の内視鏡検査が終わった。

結果は、潰瘍のような傷跡はすでに癒えていたし、ポリープ切除も検査のための組織採取もなかった。つまり大腸がんや自己免疫疾患が疑われる潰瘍性病変も見当たらなかった。

これで虚血性大腸炎であることはほぼ確定した。

虚血性大腸炎は、大腸への血液の循環が悪くなり、必要な酸素や栄養分が供給されなくなるために、大腸粘膜が虚血となり炎症や潰瘍を生じる疾患とのことである。

心疾患や糖尿病を有する高齢者に多いとされているが、僕にはこのような基礎疾患はないし、年齢相応の動脈硬化はあるにしろ血管側因子ではなく腸管側因子だろうと言われた。

典型的な原因は便秘である。

 

これは心当たりがある。僕は便秘を普段気にしなかった。

若いころから便秘と下痢を繰り返していた。

これは仕方がないもの、職業病だとずっと思ってきた。仕事を辞めるまで治るまいと思っていた。

大事な会議の前は、必ずトイレに行くようにしていた。会議中に腹痛で席を立つわけにはいかないからである。

出張中は、午前中の腸の活動を不活発にしておくためホテルの朝飯は一切食べなかった。

このため規則正しい排便などしたこともなく下痢の後は自動的に便秘になった。

いまなら過敏性腸症候群とか「立派」な病名がつくのかもしれないが全く知らなかったし職業病、職業病!とあきらめていた。

 

これは日常の活動率が発病前の50%くらいになった今でも回数は減っても続いていた。

腹部CTで、大腸のうち下向きの下行結腸、S字結腸あたりが腫れていることがわかるという(写真の図)。炎症が起こっていたようだ。

11月に膠原病内科の採血があるので、嫌だなぁと思ったのは、この疾患でもCRPや白血球数が上昇するというからだ。

関節リウマチ患者は、ほかの炎症性疾患を併発すると、関節リウマチの炎症度合がよくわからなくなってしまう。

 

ξ

一過性型虚血性大腸炎の治療法は、重症の場合は入院のうえ絶食・静注とのことだが、僕は整腸剤(乳酸菌細粒)が処方され消化のよい普通食のまま通院加療となった。ものすごい治療薬があるわけでもないのである。

僕は便秘を防ぐためと下半身を冷やさないため2つのことを始めた。

 

1.半身浴

身体の姿勢を変えたはずみで下腹が痛くなる。トントンと軽くジャンプしても響いて下腹が痛くなる。じっとしていても鈍痛がある。

常にお腹を抱えていたいような、お腹を冷やしたくないようなタイプの痛みである。

そこで半身浴を再開した。痛みは確実に和らいだし、下半身の血行もよくなりそうな気がした。

 

2.難消化性デキストリン

従来から、難しい便秘薬を服用せず、トクホの「イージーファイバー」(小林製薬)という食物繊維ですましてきた。便秘になると時々思い出したように飲んでいた。それなりに効き目があった。

これを当面、多めの水分とともに毎日飲むようにした。入院となれば絶食かスープのようなものしか口にできないそうだから食物繊維を摂取してよいかどうかは疑問があり、一般的かどうかもわからない。しかし軟便状態の方が痛みにも大腸の炎症粘膜にもよいのではないかと思われたのである。

 

1週間くらいで血便は消えた。

 

ξ

今回興味深かったのは、虚血性大腸炎動脈硬化に関連する基礎疾患を持つような年代に特有な疾患というわけでもなく、若年性虚血性大腸炎が増えているとの情報だった。*1

 

その特徴は次のようなものである。

  • 男女比は1:2~3と女性に多い
  • 若年者では、①腹痛、②下痢、③血便と、典型的な症状をみせることが多い。
  • 潰瘍はS状結腸、下行結腸に認められることが多い。
  • 腸管側因子としては、便秘、浣腸、下剤服用のほか喫煙、脱水、NSAID使用、経口避妊薬などがある。
  • 血液凝固・線溶性因子の遺伝子多型異常が原因となることもある。
  • 慢性腎不全のような基礎疾患がなければ一過性型が多く、予後は良好なことが多い。

 

結局、この経験で

酸素・栄養不足を招くことのないよう血液が滑らかに流れる温かな消化吸収環境の維持に努めること

と思ったのだが、これはお馴染みの生活習慣病予防の心得と変わらない。

しかしあわててフードファディズム*2にのめり込むのではなく

ほどほどにバランスのよい食生活をして、もしも病気になったら

(ちょうど今回のように)

おかげで病気が軽くて済んだとか

(ちょうど関節リウマチのように)

食生活のほかになんか問題があったんだねとか

思うことにして

時間や気力や体力のわずかな余剰を自分の心身以外に振り向けていくほうが

生きていて楽なのではないかと

僕には思えた。

 

*1:

[症例報告] 尾形他8名「若年男性に発症した虚血性腸炎の1例」

http://www.sasappa.co.jp/online/abstract/fij/1/060/PDF/197-201.pdf

*2:食べものや栄養が健康と病気に与える影響を、熱狂的、あるいは過大に信じること、科学が立証したことに関係なく食べものや栄養が与える影響を過大に評価することである。例えば、マスコミで流されたり書籍・雑誌に書かれている「この食品を摂取すると健康になる」「この食品を口にすると病気になる」「あの種の食品は体に悪い」などというような情報を信じて、バランスを欠いた偏執的で異常な食行動をとること。(wikipedia