たかがリウマチ、じたばたしない。

2015年に急性発症型の関節リウマチと診断された中高年男子。リハビリの強度を上げつつ、ドラッグフリー寛解≒実質完治を目指しています。

セブン-イレブンの消費税込み301円問題について思う

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https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190918/k10012086721000.html

 

ξ

セブン-イレブンのレジの計算システムの変更により、消費税込み100円のコーヒーを3つ買うと、300円ではなく301円請求されるという問題がニュースになっていた。

これは確かに購入する消費者の感覚に合わない。

同じものを複数買えば、いくらか単価が安くなる(割引)ことは想定できても、その反対は想定しがたいからである。

当然だが、驚きや不満の声が上がっているそうだ。

 

これは次のような計算に基づいている。

 

(従来システム)

税抜き単価(円) 93    

税込み単価(円) 93×1.08=100.44

税込み表示単価(円) 100(1円未満切り捨て)

購入者支払総額(円) 100×3=300

(新システム)

税抜き単価(円) 93    

税抜き総額(円) 93×3=279

税込み総額(円) 279×1.08=301.32

購入者支払総額(円) 301(1円未満切り捨て)

  

ついでに消費税率10%の場合は次のとおりであり、3つまではいずれの方式でも同じ金額、4つ目から差額が発生する。

 

(従来システム)

税抜き単価(円) 93    

税込み単価(円) 93×1.1=102.3

税込み表示単価(円) 102(1円未満切り捨て)

購入者支払総額(円) 102×4=408

(新システム)

税抜き単価(円) 93    

税抜き総額(円) 93×4=372

税込み総額(円) 372×1.1=409.2

購入者支払総額(円) 409(1円未満切り捨て)

  

これは、1個税込み102円の日用品を同時に4個買ったら408円ではなく409円請求されるという話である。

 

ξ 

もし同じ商品をたくさん購入した場合

商品ごとの税込み価格足し上げ方式(従来システム)と、商品ごとの税抜き価格足し上げ後税込み価格計算方式(新システム)を比較し

新システムによって購入者が消費税を従来よりいくら余分に支払うことになるのか試算すれば次のようになる。(税抜き単価93円、消費税率10%、表示単価は1円未満切捨て)

 

購入個数  消費税プラス額(円)

 1               0

 4               1

 5               1

10              3

15              4

20              6

30              9

40            12

50            15

60            18

70            21

80            24

90            27

100          30

 

同じ商品をたくさん買った場合、新システムの方が従来より消費税額が増える(その数学的証明は易しいです)のは承知の上で設計されているはずだから、その意味では「確信犯」といえる。

新システムへの変更は、当然、当局の了承があるはずだから、購入者が「過払い」させられているというような法的な問題は無いのだろう。

手元の様々なレシートを眺めてみると、「税込み価格合計」型と「税抜き価格合計」型(税は最終計算)は混在している。

 

ξ

新システムでは、同じ商品をまとめて精算するのでなくバラバラにレジで精算したほうが安いだろうということはわかるが

アレコレ考えていたら、アレッというようなフィクションに行き着いた。

 

 5人でちょっと贅沢なランチを食べに行った。混んでいたのでレジ精算のとき、Aさんがまとめて払い、あとで割り勘にすることにした。7,500円(1,500円×5)を用意したら7,502円(1,364円×5×1.1)請求された。この2円は誰が負担すべきだろう、僕が負担するのだろうか、とAさんは唇をかみしめた。

(税抜き単価 1,364円 税込み単価1,500円)

 

 大事な取引先ユーザーが工場視察に来ることになった。大型バス1台で50名になるとの連絡が入った。Bさんは昼食用に弁当50個を手配(配膳・片付け付き)した。75,000円(1,500円×50)のつもりだったが、75,020円(1,364円×50×1.1)の請求書が来て、この20円の差にBさんは面食らい釈然としていない。

(税抜き単価 1,364円 税込み単価1,500円)

 

セブン-イレブンで税込みの支払額が、これまでよりも突然、増えてしまう事態が起きたことに対し、会社は「利用客への周知が足りなかった」と説明するだけである。

ところが、ファミリーマートとローソンは、従来どおり、各商品の税込み価格を合計すると表明している。*1

これでコンビニ大手3社はそれぞれで、購入者の支払額に差がつくことがある、と公然とさせたことになる。

 

実際、9月末にワタシはファミリーマートで日用品を2個買ったが、レシートは税込み価格合計だった。これをセブン-イレブン方式で計算し直すと、ファミリーマートのほうが1円安かった。

 

単に支払金額の多い少ないで騒ぐようなレベルの話ではないかもしれない。

しかしこのニュースが、ある種の不快さを伴なって話題になったとしたら、その不快さの理由は何だろう。

それは、年貢を取り立てる強靭な社会規範の、末端を担う取立人が、決まりですからと平然と目の前にやってきて、ヒトゴトのように無表情でワタシたちの日常の隅々に立ち入ってきたような不快さ、と言ったら近いかもしれない。

ワタシの好きな漫才であれば、「下衆の極み!」と見得を切り、刀を振りかざすところかもしれない。

 

一方、ワタシには、小規模なネット商店から、販売価格は据え置きにします!という通知がいくつかやってきている。

強靭な社会規範に、(値下げして)一矢報いる!ような表明は、小気味よいところがある。

 

大手コンビニからの消費者の離反(コンビニ離れ)は以前から言われてきたが、この10月からの一層の世知辛さを契機に、コンビニ利用の見直しはさらに進むかもしれない。そのくらい消費者は敏感になっている。