たかがリウマチ、じたばたしない。

2015年に急性発症型の関節リウマチと診断された中高年男子。リハビリの強度を上げつつ、ドラッグフリー寛解≒実質完治を目指しています。

青汁をやめたら関節リウマチがよくなったという話

ξ

標題は、一般向け医学書にあった記載である。

葉酸の働きを妨げることにより効果を発揮する抗リウマチ薬メトトレキサート説明の文脈で述べられたものである。

 

薬剤どうしの相互作用の危険のほうが数多くわかっているようだが、免疫抑制薬と食品との相性の悪さも、結構明らかになっている。*1

1.シクロスポリン
【食品】グレープフルーツジュース
【臨床症状】代謝酵素の働きを阻害し、薬物血中濃度が上昇してしまう。

2.タクロリムス
【食品】グレープフルーツジュース
【臨床症状】代謝酵素の働きを阻害し、薬物血中濃度が上昇してしまう(腎臓障害等の懸念)。

【食品】セイヨウオトギリソウセント・ジョーンズ・ワート
【臨床症状】代謝酵素を誘導・代謝促進させ、薬物血中濃度が低下してしまう。

3.メトトレキサー
【食品】葉酸、青汁
【臨床症状】葉酸活性化阻害などにより免疫抑制する機序のため薬物効果が低下してしまう。

 

f:id:yusakum:20190919104650j:plain

 

ξ

ところで、健康食品、代替医療に関するリウマチ医のオーソドックスな考え方は次のようなものである。

 

健康食品やサプリメントなどに関しては、われわれ医師が答えられることはあまりありません。患者さんからよく質問されることではあるのですが、私たちが処方している医薬品とは基本的に異なるものです。厚生労働省で医薬品として認可されるためには多くの臨床試験を経て、厳格に審査される必要が有ります。健康食品やサプリメントには、この過程がありません。効果・副作用の情報が無いのです。一般論ですが、「効果があるのであれば厚生労働省が認可し、保険診療で使える医薬品となっているはず」です。つまり、その審査に耐える「効果率」が得られないので医薬品にならないのでは無いでしょうか。われわれが処方する医薬品で「効果」と言うときは「厳密に何人の患者さんに投与したときにどのように病気が改善する患者さんが何人いる」ということをリサーチした結果を元にしています。しかし、代替医療における「効果」は、極端な例を挙げれば、数多くの利用者の中で1名でも良くなれば、それを「利用者の声」として宣伝しているものが一般的です。また、健康食品やサプリメントの宣伝で「効果をうたうこと」は法律で禁じられています。これらの健康食品やサプリメントによる健康被害も後を絶ちません。われわれ医師としては、あまりお勧めすることができないものとご理解下さい。

http://imed1.kmu-ac.jp/kkrn/p23.html

 

ξ

いかにも知性と良識を装った医療権力者独特の言い回しである。

そもそも

現代医学が処方している薬物は、サプリメント・食品によっては効果が不必要に増したり減じたりするものがあるので同時摂取しないでください、代替医療・健康食品について、それ以上のことは統一見解もありませんのでわかりません

といえば済むところを

民間にすでに流通しているかもしれない有効な治療法・治療薬・食品など、どういじったところで(誰が研究費を負担する?)

製薬会社・研究機関・医療機関にとってたいして利益を生まないわけだから、大規模な治験などに取組むつもりなどハナからないのに

わざわざ「効果があるのであれば厚生労働省が認可し、保険診療で使える医薬品となっているはず」です、などとヒトゴトのように言ってみせる。

そうではないでしょう、アナタが妨害するか無視することによって既にある有効な治療法が陽の目を見ないだけかもしれないでしょう、という問いかけへの謙虚さも怖れもまったく感じられない。

それは製薬会社か世界の研究機関といった権威筋の目線しか興味を示さない医療権力者独特の発想ではないか。

製薬会社や医療機器メーカーの莫大な利益のおこぼれには関心があっても、その結果である医療費の増嵩や国民の負担増には何ら関心がないのではないか。

 

といった具合に、医療権力者らには嫌みの二つ、三つ言ってみたくなるが

現代医学や代替医療との付き合い方は疾患の段階、ステージによるだろう、と思ってはいる。

 

ξ

関節リウマチについては、ここ数年で、ワタシの現代医学や代替医療に対する考えははっきりしてきた。

 

A.関節リウマチの診断が出たら、強力な抗リウマチ薬、生物学的製剤(バイオシミラーを含む)を用いて寛解を目標にしたほうが良い。 

(なお生物学的製剤でレミケード型、アクテムラ型、オレンシア型の3種類の標的分子型のどれを選択すればよいか採血だけで事前予測する方法は興味深い。*2

内臓障害、動脈硬化性疾患など生命予後への悪影響まで考えたら、ESR、CRPが基準値を上回るような高い炎症状態を放置すべきではない。

 

B.寛解(または寛解付近)まできたら減薬を目標にする。

減薬の最終目標はドラッグフリー、バイオフリーである。

減薬しつつ低疾患活動性以下の期間をできる限り長くする。

 

C.減薬とは薬依存から徐々に離脱していくことである。

減薬するころから体質改善の比重が増してくる。(健康食品のほとんどは保険診療対象外である以上、エビデンスが不明確なのでフードファディズムに狂ったりしないよう少しづつ「ダメモト」覚悟で身体的運動を含む代替医療に関心を持つようにする。

 

D.全ステージにおいて、過労の防止、十分な睡眠、偏りのない栄養を心掛ける。

 

物事には段階があるということである。

炎症はさっさと抑え込む、炎症が落ち着いたら減薬に入る、減薬に入ったら炎症体質の改善を考えてみる、というような手順である。

上記は、高額で多少副作用があっても現代医学に任せるステージである。

上記は自助努力のステージである。

リウマチ医は、炎症反応が落ち着き、倦怠感だの慢性疼痛が主訴になった時期には、ほとんど役にたたない。リウマチ治療には明らかに段階がある。*3

 

ξ

患者の多くは現代医学の権威主義には気付いているから

軽度の患者を中心に、反・現代医学的な発想を持つ人々が相当数いて、「栄養療法」、「自然療法」、「民間療法」、「健康食品頼み」、「無治療」などの層を形成している。

こういう反・現代医学的な患者を、もちろん医療権力者は(自己責任と称し)無視するだろうから、すれ違うこともない。

 

一方、20世紀までの「有効な治療法が無かった」時代に逆戻りしたかのように、反・現代医学を強調して、関節破壊懸念を抱え続けることもないと思う。*4

  

利用デキルモノハ等シク利用シツクシテヤレ!

といった態勢のほうがずっとリアリティがある、つまり現実的なのではないだろうか。

 

 

*1:

参考:「薬理相互作用(10-免疫抑制薬の薬物相互作用)」

https://www.jstage.jst.go.jp/article/joma/119/2/119_2_199/_pdf

*2:

「関節リウマチに対する 3 剤の生物学的抗リウマチ薬(インフリキシマブ、トシリズマブ、アバタセプト)の薬剤効果予測検査サービス開始」

https://www.dna-chip.co.jp/company/pdf/press100.pdf

「予測が困難であったリウマチの薬剤効果を判定する指標を特定」

https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/files/2016/7/19/20160720_1.pdf

*3: 

yusakum.hatenablog.com

 

*4: 

yusakum.hatenablog.com